キャットフードの原材料(ビートパルプ)の必要性と注意点
キャットフードの原材料に「ビートパルプ」と記載されているのを見かけたことはあるでしょうか?キャットフードの原材料の名前の中には、私たちでもわかるものと全くわからないものがよくあります。その中でもビートパルプはよくわからない原材料の一つではないでしょうか?そこで今回は、ビートパルプは猫ちゃんにとって必要な原材料なのか、注意点はあるのかどうかをご紹介していきます。
ビートパルプの働き
ビートパルプ(BeetPulp)のビートとはSugarBeetのことで、サトウキビ同様にお砂糖の原料となる野菜、甜菜(砂糖大根)のことです。この甜菜から砂糖を絞り出した絞りかす(食物繊維)のことをビートパルプと呼びます。
日本ではサトウキビが沖縄を代表する温暖地の砂糖の原料ですが、甜菜(砂糖大根)は北海道を代表する寒冷地の砂糖の原料です。
ビートパルプには可溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つの食物繊維が含まれていて、猫ちゃんの腸内環境を整える役割を担っています。
(1)可溶性食物繊維
水に溶ける食物繊維のことで、消化をサポートし腸管の中で善玉菌の餌となり、善玉菌を増やすことで腸壁を保護します。
また、肉食動物である猫ちゃんのアルカリ性に傾きやすい腸を酸性に保つことで悪玉菌を減らし、腸内環境を整えることによって便の硬さを正常に保ち、臭いニオイを和らげる効果も期待できます。
(2)不溶性食物繊維
水に溶けにくい食物繊維のことで、腸内を掃除することで大腸の働きをよくするといわれています。
腸の中で便を硬くしてかさを増すために、一般的に便通をよくする働きがあるといわれています。
ビートパルプはこれらの2つの食物繊維をバランス良く含むことで、食べ物を食べたときに緩やかに運ばれるために、血糖値の急上昇を防ぐ役割があります。
また、毛繕いで飲み込んだ毛玉を腸内で絡めとり、便と一緒に排泄させる働きがあることから、毛玉ケア用のキャットフードに多く使われています。
ビートパルプは猫ちゃんにとって必要があるのか?
ビートパルプが原材料として使われているキャットフードを食べることで、毛玉や便の排出を促すといわれていますが、猫ちゃんは元々肉食動物なので、食物繊維をうまく消化することができません。腸の中でコロコロと硬くなった便はうまく排出されずに腸に残り、活性酸素や悪玉菌を増やして、便秘解消どころか逆に便秘を酷くする恐れもあります。
また、排出されたとしてもかさを増し硬くなった便は肛門を傷つけ、痔になることも考えられます。
同じ食物繊維であれば、良質な食物繊維の摂れるサツマイモなどの芋類、米、大豆からでもいいはずなのに、なぜビートパルプから摂取する必要があるのでしょうか。
ビートパルプがキャットフードに使われている理由
猫ちゃんにとって必要性がないように感じるビートパルプですが、キャットフードの原材料にはよく使われることが多いです。その理由として、コスト削減のためと、カサ増し目的があります。
良質な食物繊維の摂れる、サツマイモや米などに比べて砂糖大根の絞りかすから摂れる食物繊維は、安く大量に仕入れることができます。
また、ビートパルプの量でカサ増しをすることができれば、価格の高いお肉やお魚、野菜類を多く使わなくてすむため、価格を安く抑えることができます。
お肉やお魚などの割合が少なくなると、猫ちゃんにとって必要なエネルギー源であるタンパク質や必要な栄養素が十分に摂れなくなる恐れがあります。
ビートパルプの2つの製造法と注意点
ビートパルプは主に、家畜飼料法によって定められた抽出法で、乳牛などの家畜の餌として使用されることが多いです。家畜はお肉や乳など人間用に育てられるので、厳格な基準により製造されています。
しかし、ビートパルプには2種類の製造法があるといわれています。
1つは甜菜(砂糖大根)を絞って圧力をかけることで自然に抽出する方法であり、2つめは硫酸系の薬剤を使って食物繊維以外の成分を溶かす方法です。
薬剤を使って食物繊維を取り出す方法は、圧力をかけて抽出するよりも食物繊維を楽に取り出すことができます。
薬剤を使ってビートパルプを取り出す方法は、厳格な基準のもと作られている家畜や人間用には使えないので、安くて粗悪なキャットフード用に使われることが多いのです。
粗悪なビートパルプの猫ちゃんへの影響は?
薬剤で絞り出した食物繊維には、当然のことながら薬剤がビートパルプに残ってしまうでしょう。猫ちゃんは元々便秘をしやすい動物ですが、薬剤を使ったビートパルプのせいで、便の排出を促すための神経伝達に異常を来す恐れがあります。
また内臓にも悪い影響を与えるために、将来的にさまざまな疾患にかかる恐れも考えられます。
まとめ
キャットフードの原材料によく使われるビートパルプは、コスト削減やカサ増しのための食物繊維として使われていることが多いです。これらはあくまでメーカーの都合であって猫ちゃんの身体のために考えられた原材料ではありません。
また、ビートパルプは腸で便を固める性質があり、ニオイを抑えることから飼い主さんにとっては扱いやすい便となりますが、便秘しがちな猫ちゃんにとっては逆に便秘が酷くなり腸や肛門を傷つけることにもなりかねないので、十分な注意が必要です。
ビートパルプが使われているからといって、即有害であるというわけではありませんが、元々猫ちゃんが摂取する必要のない成分だと考えると、できるだけビートパルプの使われていないキャットフードを選ぶべきではないでしょうか。